着物を着て汗をかいてしまうということは結構多く、軽く汗ばんだ程度であれば、肌着と襦袢で汗は留まって着物にまで汗が染み込まないのですが、汗を大量にかいてしまうと、襦袢を通り抜けて着物の表地にまで汗が染み込んでしまうトラブルが起こりやすくなります。(もちろん、襦袢に留まっていても汗抜きは必要です)

汗というのは99%が単なる水分らしく、乾いて水分が蒸発してしまうと見た目に分かりにくくなってしまうのですが、残りの1%が残留しているがために、着物の生地や染色にダメージを与えてしまうのです。

汗は、クリーニングや丸洗いだけでは落とせない

よく、汗をかいたのでクリーニングしてください、というご依頼があるのですが、クリーニングは油性の汚れには有効ですが、汗を含む水性の汚れを落とす力は弱いので、汗を完全に落とすには「汗抜き」という別途の染み抜き作業が必要になります。

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そんな汗抜きを行わずに着物を保管してしまうと、ほぼ確実に残留した汗により着物を変色・脱色・黄変させてしまうことになります。

このお着物も、汗をそのままにして保管されていた間に、脇の部分が変色したシミになっていました。

 

 

汗による変色 染み抜き前

 

着物を着た時、汗は主に両脇・背中・衿と袖口に付きます。大量に汗をかいた場合は、腰回りやお尻の辺りにも汗をかくことがあります。

汗抜きの作業を行う場合は、上記の部分を検品しながら、水と汗を抜く洗剤で汗を確実に洗い流していきます。

汗は変色する前に汗抜きが必要

変色してしまった汗のシミは、黄ばみを抜く染み抜きと色修正が必要になってきますので、付いた汗を落とす汗抜きの作業に比べて何倍もの料金となってしまいます。

私がいつも「汗をかいたら汗抜きを」と言っているのは、別に汗抜きも受注して儲けたいとかでは全く無く、汗抜きで汗を落としておけば、何年後かに汗抜きの何倍もの料金を支払ったり、大切な着物の汗による変色がいまいち綺麗に仕上がらなくてがっかりする経験がないようにしたいという想いからです。

 

 

汗による変色 染み抜き後

 

画像のお着物は、黄ばみを抜く染み抜きと色修正を行い、ご着用に支障のないレベルに直させていただきました。

【参考価格】画像部分のシミの染み抜き 20,000円程度(税別)
※注※染み抜きは生地の素材・色合い、シミの濃さなどによって金額が変わってきます。あくまで一例の参考価格としてお考えください。クリーニングその他加工は別途料金がかかります。)

着物丸洗い・カビ取り・汗抜きなどの料金表