着物として着なくなった物をリメイクして、ドレスやジャケットなどの洋服にするお店や加工業者さんがあります。

例えば、着物をきちっと着るのは体力的にしんどいご高齢の方が、黒留袖をワンピースの形状にリメイクしてお孫さんの結婚式に参列されたり、お母様やお祖母様の着物を譲り受けられて、着物としては着ないけどドレスにリメイクして着たり、そんな需要が多いように思います。

着物をリメイクした洋服、適したお手入れ方法は?

さて、そんな元は着物だった物を洋服に仕立て直した物ですが、果たしてメンテナンスに関しては、着物のお手入れ方法と洋服のお手入れ方法のどちらが適しているのでしょうか?

先に結論から申しますと、出来れば着物のお手入れ方法で、となります。

この理由についてですが、当たり前ですが、形は洋服になっていても元は着物だったので、着物として染色・金彩・刺繍などが施されています。

そのような物を一般的な洋服を同じ方法でお手入れ(シミ抜き・クリーニングなど)を行うと、思わぬトラブルになる場合があります。

洋服と同じ洗い方で起こるトラブル

以前その被害に関わった方から聞いた話ですが、その方が着物を売ったお客さんが、着用後の着物を近所の洋服を主に扱っているクリーニング店さんに洗いに出したところ、金彩の柄が全て剥がれ落ちてしまい、その着物を売った方の所に何とか直して欲しいという連絡がきて、大変困ったそうです。

なぜこのようなことが起こったかというと、着物の金彩などの加工は、強い溶剤で洗うことを前提に作っていない物もあり、そのような品物を洋服と同じ溶剤と洗い方で洗うと、溶剤の油脂を溶かす力が強すぎて、金彩を生地に定着させている樹脂が溶け出してしまい、金彩が剥がれてしまったようです。

また、洋服を洗うドライクリーニングの溶液には、汚れ落ちが良くなるようにソープという洗剤の一種を混合しているのですが、このソープは抱水性といって水分を取り込む性質を持っており、この性質を利用してドライクリーニングでも水性の汚れをある程度落とすことを目的にしているのですが、このソープが多く混合されている洋服用のドライクリーニング溶液で着物を洗うと、含まれる水分量の多さから、元は着物であった衣類は、色にじみや生地の縮みなどが起こりやすくなります。

今はクリーニング店さんも研究などされておられますので、あまりこのような事故は起こっていないようですが、やはり元が着物の物を洗う場合は、着物のお手入れ方法が適していると考えます。

洋服と同じシミ抜きで起こるトラブル

シミ抜きに関してですが、こちらも洗いと同様に、洋服と同じシミ抜き方法で染み抜きすると、思わぬトラブルが起こる場合もあります。

例えば染色ですが、着物の染色は水洗いをすると簡単に色が滲む物もあり、そのような品物を洋服と同じ感覚でシミ抜きを行うと、柄が消えたり色が滲んで元に戻せなくなったりなどの事故が起こる可能性が高くなります。

また、洋服にリメイクする着物は絹がほとんどだと思われますが、絹は湿った状態での摩擦に非常に弱く、シミ抜きで無理に擦ったりすると、生地の表面が細かく毛羽立ってしまい、元に戻せなくなります。

以上のようなことから、着物をリメイクして洋服にした物は、姿かたちは洋服でも、着物のお手入れ方法が適していると言えると思います。

一番良いのは、着物のお手入れで洋服の仕上げ

元は着物とはいえ、リメイクして形は洋服になっていますので、着物を専門に扱うお店の場合、うまくプレス仕上げが出来ない可能性があります。

なをし屋では、着物をリメイクしたお洋服は、着物と同じ洗い方・シミ抜き・お手入れを行い、シワを伸ばしてシルエットを整えるアイロン仕上げは、洋服の仕上げ数十年のベテラン職人さんにお願いして仕上げてもらっています。

着物をリメイクした洋服は、元の着物がアンティークの物もあるので、お手入れといえども適切な方法でお手入れしないと、二度と着られなくなってしまう事故が起こる可能性がありますので、信頼出来るお店にお任せするのが安心かと思います。

着物リメイク品のクリーニング参考価格

着物をお洋服にリメイクしたお品物のクリーニングを承る場合の参考価格表が以下になります。

(※生地や刺繍などが劣化している場合、クリーニングをお断りする場合がございます)

(※特殊な形に縫製してあるお品物は、仕上げが複雑になるので、料金が変わります)

(※汗抜きは汗の範囲によって料金が変わります)

(※シミ抜きはお品物を拝見してのお見積りとなります)

【品名】【価格】
ジャケット8,800円
ワンピース・ドレス11,000円
アンサンブル19,800円
上記に+汗抜き6,600円~
上記に+遠赤外線除菌4,400円