染み抜き屋になってから三十年以上になりますが、何故か不思議なことに、着物の衿にヘアカラーが付いてシミになった、というご相談は結構多いんですね。

何故不思議に思うか?と言うと、洋服であれば、ヘアサロンもしくは自宅でヘアカラーをしてその液が付いたりしてシミになることは普通に有り得ることなんですが、着物を着た状態でヘアカラーをする人はまずいませんし、着物に付いたヘアカラーの染み抜きをご依頼される方にその時の状況をお尋ねしても、今まで誰一人としてそのような方はいらっしゃいませんでした。

ヘアカラーは、時間が経っても衣類に付くことがある

これはあくまで私のこれまでの経験と推測から導き出した話になるのですが、ヘアカラーの類は、施術後に時間をおいて洗髪した後であっても、何らかの原因(汗など)によって流れ出し?、衣類の衿などに付着してしまうことがあるようです。

もしかしたら、プロの美容師さんなんかは、ヘアカラーは時間が経って洗い流せば流れ出したりしない、と、この話に反論されるかもしれません。

私も実際に実証実験などをした訳ではないので、あくまで経験と推測による話となってしまうのですが、ご依頼者様のお話を聞く限り、ヘアカラーが流れ出した、もしくは髪と衣類との摩擦によって色移りのようにヘアカラーが移ったとしか説明出来ない事例がほとんどなのです。

 

着物に付いたヘアカラーのシミ 染み抜き前

 

着物の衿に、しっかりとヘアカラーのシミ汚れが付いております。

この事例も、ご依頼者様にお話を聞く限り、ヘアカラーをしてすぐではなく、翌日以降に着物を着てこのようになったそうです。

ヘアカラーのシミは、一見付いただけのシミのように見えますが、実際にはヘアカラー液に含まれる化学薬品による生地への化学反応で着色している状態になります。

つまりは、ヘアカラーの成分によって、生地が染色されてしまった状態ということになります。

しかも、ヘアカラーの色は単なる色素が付いたものではなく、先にお話したように化学反応によるものですので、シミを落とすには化学的に分解する必要があります。

 

着物に付いたヘアカラーのシミ 染み抜き後

 

 

生地を傷めないような薬品をチョイスして、出来るだけ生地に負担をかけないように時間をかけて染み抜きした結果、生地も染色も傷めずに、ヘアカラーのシミだけ落とすことが出来ました。

着物の衿にヘアカラーが付かないようにするには?

付いてしまうと非常に厄介なシミになるヘアカラーが着物に付かないようにするには、どうしたら良いのか?

これについては、身も蓋もない話になってしまうのですが、ヘアカラーをしてすぐは着物を着ない、このことに尽きるかと思います。

何日後からなら大丈夫か?というのも難しい話になるのですが、着物を着る予定が決まっているのであれば、ヘアカラーは一週間前ぐらいまでに済ませておいて、着用日の前日にヘアサロンでカラーをしてもらう、というのは避けた方が良さそうです。

【参考価格】画像部分のヘアカラーのシミの染み抜き 15,000~20,000円程度(税別)
※注※染み抜きは生地の素材・色合い、シミの濃さなどによって金額が変わってきます。あくまで一例の参考価格としてお考えください。クリーニングその他加工は別途料金がかかります。)

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