還元剤 (染色補正作業の薬品材料)

∇亜鉛末
性状: 灰色の粉末で、亜鉛地金を焙焼し、亜鉛蒸気にして乾燥採取したもの。
用途: ハイドロサルファイトの製造原料であり、一般に還元剤、抜染剤、防染剤として使用。
補正では氷酢酸、重亜硫酸ナトリウムと混合し、三品改良として還元抜染剤として重宝される。
三品改良は、熱により反応が進み、ハイドロサルファイトを生じる。

∇重亜硫酸ナトリウム
性状: 白色粉末及び淡黄色の液体
用途: ヨード、ヨードカリ液の使用後の着色後の脱色に用いる。
補正では、三品改良として使用。

∇三品改良液
性状: 灰色の粘液で特異臭があり、亜鉛末(2g)・重亜硫酸ナトリウム(2cc)・氷酢酸(3cc)の割合で配合したものが良いと思われる。
用途: ロンガリットと共に補正の抜染剤として不可欠の薬剤。ロンガリットでは抜け難い黄色の染料の抜染。
でんぷん糊を混合しての紋抜などには特に重宝され、薬品の調合の仕方により抜染効果を変化させることも出来る。

∇ロンガリットC
性状: 白色粉末
用途: 氷酢酸や蟻酸と併用して使用する。熱ゴテにより友禅の泣出抜き、水元の泣出し、打合、染料ジミの抜染に用いる。
ローダミン、オーラミンを天日に晒して抜く方法もある。

∇デグロリン
性状: 白色粉末
用途: 補正においては主として三品改良と併用し、三品改良の抜染効果を上げるのに用いる。
抜染の色はげに注意。単品による氷酢酸、蟻酸との併用による抜染も可能である。

∇DSコンク
性状: 白色結晶
用途: 三品改良と混合して抜染効果を高める。また、ロンガリットと氷酢酸或いは蟻酸との混合液の中にDSコンクを加えることにより、抜染効果が上がるが、効力の持続性に難点。
DSコンクと氷酢酸、蟻酸との混合液でも抜染が可能。
合成繊維の抜染に、膨潤剤・染料溶解剤との併用で用いられる。

∇ハイドロサルファイト
性状: 白色の粉末
用途: コンクとSS型、いずれも漂白剤、脱色剤、還元剤に用いる。SS型は連続性がある。

∇無臭ハイドロ
性状: 白色粉末
用途: 珪酸ソーダ、メタ珪酸ソーダを加えて、弱アルカリ下で漂白度はハイドロサルファイトよりも小さい。
色目により非常に効果的。
∇チオ硫酸ナトリウム
性状: 無色単斜晶の大結晶
用途: 塩素を溶解する性質があり、脱塩素剤として利用。ヨード、ヨードカリ液の使用後の色素の脱色に用いる。
過マンガン酸カリの使用後の脱色にも用いる。

※参考文献 「染色補正の技術・技法」 京都染色補正工業協同組合 著