なぜかはよく分かりませんが、保管しておいた着物に輪ゴムが紛れ込んでいて、その輪ゴムが溶けて生地に固着してしまったシミになった、というご相談は、多くはありませんが、時々はいただくご相談の一つです。

ゴム類は、年月が経つと溶けてシミになる

ゴム類は、皆さんもご存知かと思うのですが、経年で劣化するとネバネバになったりします。

そのネバネバも、さらに年月が経つと今度は固まって非常に硬い状態になる場合があり、それが生地に固着してしまった場合、そう簡単には落とせないシミになってしまいます。

今回ご依頼いただいた黒留袖に付いた輪ゴムが溶けて付いたシミは、何年経ったシミなのかは定かではありませんでしたが、ネバネバの状態をとっくに過ぎて、カチカチの接着剤の樹脂が固まった状態のようなシミとなっておりました。

 

輪ゴム 染み抜き・クリーニング前

 

で、このお着物のシミなんですが、当店にご相談をいただく前に他店さんでお見積りをしてもらったところ、60%くらいしか落ちないシミと言われたそうです。

60%… ものすごく微妙というか、見方を変えればちょっとズルい数値だなぁ、と思います。

半分よりは落ちるけど、7割でも8割でもなく、6割。

仮にその見積もりで染み抜きを依頼したら、明らかにシミが残っていても、見積もり通りに料金を支払わなくてはならない可能性が高いですよね。

お客さんはその着物にシミが着られないから、着たいがためにシミを落としたいわけで、そのシミがちょっと薄くなっても明らかに残っている場合、それはお客さんのご要望に応えたと言えるのか?と言わざるを得ません。

お客様もそのように考えられたそうで、そのお店での依頼を取り消し、当店へご依頼いただきました。

固くなっているシミは落ちにくい

この輪ゴムが溶けて固着したシミに限らず、何かが付いて固くなっているシミというのは、非常に落ちにくいシミとなっている場合がほとんどです。

このようなシミを落とすには、まずはシミ自体を溶かして染み抜き出来る状態にする必要がありまして、そこが非常に難しいんですね。

なので、先の他店さんも60%ぐらいしか落ちないという回答をされたんだと想像します。

当店の場合、輪ゴムのシミを落とした経験もあるので、手間を掛ければ何とかなるだろうという予測が出来たので、お引き受けいたしました。

 

輪ゴム 染み抜き・クリーニング後

 

やはり固着したゴムを溶かすのに非常に苦心いたしましたが、見た目には全く分からない状態に染み抜きすることが出来ました。

これなら、99.9%落とせたと言っても大丈夫かと思います。
【参考価格】画像部分のシミの染み抜き 15,000円程度(税別)
※注※染み抜きは生地の素材・色合い、シミの濃さなどによって金額が変わってきます。あくまで一例の参考価格としてお考えください。クリーニングその他加工は別途料金がかかります。)

着物丸洗い・カビ取り・汗抜きなどの料金表