色移りのシミというのは、意外と?ご相談が多い染み抜き事例です。
一番多いご相談は、やはりお洗濯で他の衣類もしくはその衣類から色が流れ出し、それが色移り(移染)や色滲みを起こす事故が一番多いです。
他には、洗濯ではなく保管中に接触していた他の衣類から色が移染したり、雨に濡れて衣類から色が流れ出し、一緒に着ている衣類に移染したりなどがあります。
そのような衣類からの色移りというのは経験がある方も多いかと思うのですが、時には思いもよらない物からの移染事故という場合があります。
色がある物は全て色移りのリスクがある
今回ご依頼いただいた事例は、龍村美術織物のシルクのテーブルセンターに、メモ帳から色が移ったというトラブルでした。
画像で観てもはっきりと分かるぐらいに、赤い色素がテーブルセンターにがっつり移染しています。
染み抜きという作業は、そのトラブルに至った過程や原因などが事前に分かっていると、正解(シミが落ちる)に辿り着きやすくなるので、今回もこのようなことになった原因をご依頼主様にお伺いしたのですが、30年以上染み抜き屋を営んでいる私でも、その原因はちょっと意外なものでした。
色移りは水分があると起こりやすい
このテーブルセンターは、お店?のテーブルの上に敷いた状態で、その上に観葉植物の鉢を置いていたそうです。
そして、年末年始に留守にする間、観葉植物が枯れないようにタイマーで自動的に水遣りをする機械を置いていたそうなのですが、テーブルセンターの上に、観葉植物以外に赤い表紙のメモ帳を置いていたそうなんですね。
で、状況から考えると、どうやら自動的に水遣りをしていたところ、水が過剰になって観葉植物の鉢から溢れ出し、溢れ出した水分がテーブルセンターを広く濡らした結果、一緒に置いていたメモ帳が濡れて表紙の色が滲み出し、テーブルセンターに移染した、ということで間違いないようです。
今回のトラブルもそうですが、色(染料・色素)というのは、水分を含んで時間が経つと動き出す性質があるので、紙であろうと繊維であろうと、水に濡れた状態で長時間経つと、接触もしくは密着している他の物に色が移ることが非常に多くあります。
そして、そのような長時間濡れた状態で移染したトラブルの場合、色移りのシミが非常に落ちにくいシミになっていることが多くなります。
その原因ははっきりとは分かりませんが、洗濯などの短時間で移染した場合よりも、今回のような長時間水に濡れた状態での移染の方が、シミが落ちにくい、時には完全に落とすことが困難なシミになっていることが多くなります。
色を抜くことは簡単でも、他の色柄に影響させないのは至難の業
移染のシミでも、実はシミ自体を抜くことはそれほど難しいことではない場合が多いんですね。
何故なら、色素のシミ自体は、繊維に影響を与えない物であれば、強力な薬品で強制的に抜ける場合がほとんどなんですね。
ところが、その方法で色移りのシミを抜けば、今回のような色柄があるお品物の場合、その色柄までも抜けてしまいます。
これこそが、ほとんどの染み抜き店やクリーニング店で色移りのシミが直せない要因になります。
かなり手間と時間がかかる染み抜きでしたが、元の色柄に全く影響を与えることなく、赤い色素の色移りのみを染み抜きし、ほぼ元の状態に復元出来たかと思います。
ご依頼主様も大変驚かれ喜んでいただけました。
【参考価格】画像部分の色移りの染み抜き 25,000円程度(税別)
(※注※染み抜きとその他修正は生地の素材・色合い、シミの濃さなどによって金額が変わってきます。あくまで一例の参考価格としてお考えください。クリーニングその他加工は別途料金がかかります。)

