我が国では、赤ちゃんが産まれるとお宮参りという赤ちゃんの健やかな成長を願うための行事を行う風習があります。

一応の決まりとしては、生後30日辺りにお参りするそうですが、赤ちゃんには過酷な環境の真夏などを避けて行うことも多く、また、ある程度赤ちゃんが成長した生後100日くらいでお食い初めと一緒に行うという方も多いようです。

お宮参りには祝着(のしめ)を使う

そんなお宮参りの際には、赤ちゃんには産着・祝着(のしめ)という着物を着せてあげてお参りすることが多いのですが、それでなくてはならないということではなく、近年ではベビードレスなどの洋装でお参りすることもあるようです。

その辺りは参拝される方の自由なのですが、和装業界の末席に名を連ねている者といたしましては、やはり祝着でお参りされているのは嬉しく思います。

赤ちゃんに祝着を着せる場合、抱っこするお母様も着物をお召しになることが多いのですが、赤ちゃんを母乳で育てているお母様の場合、母乳が漏れ出してシミになってしまうということがあります。

母乳のシミは落ちにくいシミになる

母乳は赤ちゃんが成長するためのご飯ですから、多くは水分ですが、お母さんの身体の中で作られた様々な栄養素が入っています。

その成分として、炭水化物(糖分を含む)・タンパク質・ビタミン ミネラルなどが含まれているそうですが、それらの成分の中でも、特にタンパク質が原因で、母乳のシミは落ちにくいシミになります。

 

祝着の母乳のシミ 染み抜き・クリーニング前

 

祝着に、染み出した母乳のシミが付いております。

見た目にも何となく分かる方もおられると思うのですが、母乳のシミは、乾くと少し硬さを感じるシミになります。

硬さを感じるシミということは、シミの成分が固まっている状態であるとも言えるわけで、染み抜きを行う場合には、その固まった成分を溶かさないとシミが落とせないということになります。

その硬さの原因がタンパク質であった場合、固化しているタンパク質を溶かして洗い流せる状態にしないと染み抜きが行えませんので、タンパク質を溶かす専用の洗剤を用いて、染み抜きの前準備を行います。

このタンパク質のシミが厄介なのは、シミの部分に熱を加えたり、染み抜きをせずに長期間放置しておくと、タンパク質が凝固して、通常の染み抜きでは落ちないシミになってしまう点です。

血液のシミも同様にタンパク質を含んだシミですので、例えば、クリーニングに出して染み抜きを行わずにアイロンを掛けた場合、そのアイロンの熱でタンパク質が凝固し、染み抜き店であれば落とせたはずのシミが非常に落ちにくい、時には落ちきらないシミへと変化してしまうことがあります。

そのようなことにならないためにも、タンパク質を含んだ母乳や血液のシミについては、速やかに信頼できる染み抜き店に染み抜きを依頼されることを強くオススメいたします。

 

祝着の母乳のシミ 染み抜き・クリーニング後

 

今回の母乳のシミは、シミが付いてからそれほど長期間放置しておらず、熱も加わっていなかったようで、通常の染み抜きで落とすことが出来ました。

繰り返しになりますが、母乳や血液などのタンパク質を含んだシミが衣類に付いた場合、速やかに染み抜き店にご依頼くださいませ。

【参考価格】画像部分のシミ 10,000円程度(税別)
※注※染み抜きは生地の素材・色合い、シミの濃さなどによって金額が変わってきます。あくまで一例の参考価格としてお考えください。クリーニングその他加工は別途料金がかかります。)

着物丸洗い・カビ取り・汗抜きなどの料金表