常々お話しておりますが、子供用の着物は生地が基本的に弱く、あまり無理なシミ抜きが出来ない場合が多いです。

そのような理由から、古くて濃く変色したシミは、染み抜きで完全に抜くことが困難なことが多く、全く何も出来ないということは稀ですが、シミ抜きだけでは綺麗にすることに限界があることがよくあります。

祝い着・子供用の着物は、シミ抜き以外の加工を行う方法もある

染み抜きでシミが抜けない場合、全ての着物に使えるという方法ではありませんが、柄や金銀の模様を足してシミを隠してご着用出来る状態にするという加工方法があります。

特に七五三の祝い着や振袖などは、元から全体的に柄がある場合が多く、また殆どの場合お祝いの席に着用する着物なので、シミを隠すために柄や金銀の模様を足しても、華やかさが増した感じになり、違和感が出にくいという傾向があります。

ですので、生地の問題などでシミ抜きではシミが落としきれない子供用の着物の場合、最終手段にはなりますが(基本的にやり直しは出来ないため)、柄や金彩加工でシミを見えなくする作業をご提案することも多いです。

柄足し・金彩加工は、着物を作るのと同じセンスが必要

ただ、なかった物を足す場合、着物の全体的なバランスをよく見極めつつ、尚且つ上手くシミが隠れる位置に柄を足さないと、明らかに取ってつけたような違和感のある柄足しになってしまいますので、緻密かつ繊細なセンスが求められる加工となります。

なをし屋では、着物を創作している作家さんにそれらの作業を依頼しており、極力違和感や全体的なバランスの崩れが出ないような柄足しを行っております。

 

七歳祝い着 かなり古い変色シミ 金彩加工前

 

七歳用のお祝い着なのですが、アンティークの部類に入るくらい作られてから長い年月が経っている着物で、表地の全体に濃い変色シミが出ている状態でした。

先にお話したように、子供用の着物は生地があまり丈夫でないのと、生地が弱って穴が開いている部分もあったりで、シミになって長い年月が立っているこの濃い変色シミをシミ抜きすると、生地が弱ってしまう可能性が非常に高いと判断したので、お客様にその旨をご説明し、シミ抜きではなく特殊な顔料によるシミ隠しと金彩柄を足してシミを見えなくする方法をご提案させていただきました。

このようなケースで柄足しなどを行う場合、【どのような柄をどれくらい足すかは全てお任せいただくこと】、【特殊な顔料や金彩を使うので、やり直しは出来ないこと】をお客様にお伝えしてご了承をいただいてから作業を行っております。

当店はシミ抜きの専門家が店主ですので、シミ抜きで直せる物はもちろん全てシミ抜きで直すのですが、シミ抜きは魔法ではないので、今回のお品物のように物理的にどうしても直せない物に出会うことがあります。

そのようなお品物に出会った時、巷のお店のように「この着物のシミは古いので直りません」とあっさり断って終わりなのか、それともあらゆる手立てを考えてご着用いただけるようなご提案をするのか、想いを救う染色補正師としては、常に後者の信念でありたいと思っています。

 

七歳祝い着 かなり古い変色シミ 金彩加工後

 

 

派手になり過ぎず、尚且つシミを隠しながら華やかさが増すように顔料と金彩加工を施しました。

【参考価格】画像部分及び全体の顔料と金彩加工によるシミ隠し 60,000円程度(税別)
※注※染み抜きは生地の素材・色合い、シミの濃さなどによって金額が変わってきます。あくまで一例の参考価格としてお考えください。クリーニングその他加工は別途料金がかかります。)

着物丸洗い・カビ取り・汗抜きなどの料金表