成人式で着物を着られた方へ

本日、2024年1月8日は、日本全国で成人式のところが多いかと思います。

新成人の皆さん、誠におめでとうございます。

一方、甚大な災害が起こった地域では、成人式どころではない状況が今も続いているかと思います。

心よりお見舞い申し上げます。

成人式といえば、やはり女性がお振袖を着られることが多いのですが、着物を着るのは成人式で振袖を着るのが初めて、という方も非常に多いかと思います。

着装において、洋装とは全く違う部分も多く、さらに振袖は袖が非常に長いので、慣れない着装で着物を汚してしまうことも少なくないかと思います。

近年は成人式の着物もレンタルが多いので、多少の汚れであればそのまま返却すれば良い場合もあるようですが、やはり着物を汚してしまうと慌ててしまう方も多いかと思いますので、もし着物を着ていて汚してしまった場合はどうしたら良いか?を、染み抜き・着物お手入れのプロがお話させていただきますので、ぜひご参考になさってください。

着物に汚れが付いた時、絶対にしてはいけないこと

先に結論というか身も蓋もない話をさせていただきますと、着物にシミや汚れが付いた場合は、何もしてはいけません。

ハレの日に着る着物は絹で出来ていることがほとんどなのですが、綿やポリエステルの衣類と違い、乱暴に扱うと元に戻せないダメージを負うことがあります。

以下に、着物にシミを付けた・汚してしまった場合に絶対にしてはいけないこととその理由を、着物お手入れのプロが分かりやすく解説させていただきます。

濡れた状態・おしぼりなどでシミ部分を擦る

シミや汚れを付けてしまった時、特に着慣れない着物の時は、普段冷静な方でも慌ててしまうことがあります。

絹という繊維は、乾いた状態であれば比較的丈夫な部類に入る生地なのですが、濡れた・湿った状態になると摩擦に非常に弱い繊維へと一変します。

絹は蚕が吐き出す非常に細い糸を撚り合わせて一本の糸に紡いで、それを織って生地にしているのですが、濡れた・湿った状態で強く擦る(こする)と、その細い糸が切れて毛羽状になってしまいます。

お手入れのプロたちは、その状態を「スレ」と呼びます。

そのスレは、汚れやシミではなく繊維の物理的な変化ですので、修正で改善出来ることはあっても、完全には元に戻せない損傷となります。

ですので、着物にシミや汚れを付けてしまっても、絶対におしぼりやタオルなどを濡らしてシミ部分を擦ることはしないでください。

水や洗剤を使って自己流の染み抜きをする

ネットで検索すると、「自分で出来る着物の染み抜き方法」などといった記事が出てきますが、着物お手入れのプロが断言します。それらのネット上の情報は、ほぼ全て誤りです。

そのような記事は、ネットでの検索順位を上げるためだけに着物お手入れのプロではない人が書いた記事であり、その記事を鵜呑みにして着物に取り返しがつかないダメージを与えたとしても、一切の責任を負ってはくれません。

着物のシミに水や洗剤を使って自己流の染み抜きをした場合、先にお話したスレや、染色の滲みなどが起こって、シミが付いただけの状態よりも悲惨な状態になる可能性が非常に高くなりますので、そのような行為は絶対にしないでください。

とりあえずベンジンやリグロインなどでシミを擦る

着物がまだ日常着だった時代を生きてきた方は、自分で着物のお手入れをしていたので、ちょっとした汚れはとりあえずベンジンで擦るというようなことを言う方もおられますが、プロでない人がベンジンで落とせるのはせいぜい衿のファンデーション汚れぐらいですし、食べこぼしや飲みこぼしなどには全く効果はありません。

効果がないだけならまだ良いのですが、着物の染色や柄の技法などによっては、ベンジン等で擦ることで、シミとは別のトラブル(色滲み・柄の消失など)が起こる場合もあります。

プロの染み抜きであれば、ほとんどのシミは綺麗になります

今日はあまりお天気が良くない地域もありますので、着物が雨や雪で汚れたりすることもあるかと思います。

その他にも、着物にお化粧や口紅が付いたり、パーティーなどで飲んだお酒や食べた物をこぼしたり、車を乗り降りする時に着物の袖をドアに挟んで汚れたり、血液が付いてしまったり、様々なことで着物にシミや汚れを付けてしまうことがあるかと思います。

ですが、付いただけのシミや汚れであれば、プロの染み抜き屋はほぼ全て綺麗に落とすことが出来ますので、着物にシミや汚れを付けてしまった場合は、決して慌てず何もせず、後日プロにお手入れをご依頼くださいませ。

大切なお着物に深刻なダメージを与えないために、着物お手入れのプロからのお願いです。