レンタル店様の振袖の白抜け(糸引け)直します

近年は、成人式に着る振袖と言えばレンタルが主流ですが、その振袖の染め加工方法としては、ほぼ全てがインクジェットによる染色となっております。

インクジェット染色自体は、複雑な柄の染色なども可能ですし、ポリエステル生地などにも染色出来るので、着物の染色方法としてはある意味革命的な技術なのですが、その染色方法が故の特徴があります。

インクジェット染色は、裏側が染まらない

インクジェットによる染色は、専用の大きなプリンターのような機械で生地に染料を吹き付けて染色する方法なのですが、生地の表側に染料を吹き付けるので、裏側まで染料が浸透せず、生地の裏側は白いままでの仕上がりになります。昔からある染色方法に例えると、しごき染めのような染まり方になります。

生地の裏側が白いということ自体は、商品の価値などには関係ないのですが、おそらく全国の振袖のレンタルを営んでおられるお店や会社さんが困ったり悩んだりしているであろう問題が起こりやすくなります。

それは、振袖の生地の表面を引っ掛けたり引っ張ったりして、生地内部の白い部分が表に出て見えてしまう、という問題です。

この現象を、我々着物お手入れの業者は、糸引けなどと呼んでいます。

この糸引けによる白抜け、裏まで染まっている着物であれば、生地目を戻すことで直ることもあるのですが、インクジェット染めのように、生地の内部や裏側が白い場合、生地目を戻そうとしても、白抜けの状態は戻らないことがほとんどです。

では、そのような状態をどうやって直すのか?

その答えは、その振袖の色と全く同じ色を調合し、白く抜けている部分のみに色を挿して直す、という方法しかありません。

具体的にどのようにして直すのか?は、以前Instagramのリール動画で投稿した物がありますので、こちらをご覧ください。

ちょっと画質の関係で分かりにくくて申し訳ないのですが、インクジェットで染めた振袖の糸引けによる白抜けに色を挿して直している作業動画です。

動画を観ると一見簡単そうに見えるかもしれませんが、実はこの直しは意外と難易度が高く、出来るお店は少ないかもしれません。

何故かというと、生地の目がズレたりして白く抜けているようになっている箇所は、インクジェットに限らず、挿す染料が白抜け部分に上手く入らずに周囲に流れていくことが多いんですね。

特にレンタル用のお振袖は、ガード加工(撥水加工)がされていることがほとんどなので、余計にピンポイントで色を挿すのが難しくなります。

なをし屋も、色々と試行錯誤をして、ようやくこの直しの技術を確立しました。

ちなみに、この修正のおおよその参考価格ですが、糸引け(白抜け)の長さが数センチの物で、一箇所につき2,000円くらいになります(箇所が多い場合は全体を見て作業金額をお見積りしますので、単純に箇所数✕単価という計算にはなりません)

全国の振袖レンタル店様、お手持ちのお振袖の糸引けにお困りでしたら、お気軽にご相談くださいませ。

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