男児七五三用祝着の大きな黄変シミ
今年も七五三参りの季節がやってきました。
七五三のお参りは本来であれば11月15日がその日となるのですが、日が決まっているので平日(今年もそうです)が多く、11月15日の前後の週末にお参りされるという方がほとんどのようです。
そんな七五三のお参りに着るのが祝着(いわいぎ)という着物になりますが、着られる年齢幅と用途が限られている着物のため、七五三などの行事が終わってしまえば何十年と保管されたままという場合が非常に多いので、保管中にカビが生えたりシミが浮き出てきたりすることが非常に多い着物となります。
男児七五三祝着の前身頃部分に濃く黄変したシミが出ております。
おそらく、以前の着用時に何か水分系のシミが付いたがそのまま保管してしまったがために、何十年もの保管期間中にシミが変化してこのような濃い変色シミになったものと思われます。
このような祝着の変色シミを染み抜きする場合、大人用の一般的な着物とは少し事情が違う部分がありまして、染み抜き作業においてもあまり無理が出来ない場合がほとんどなので、シミが濃い場合は薄く残りやすい傾向があります。
一つは、生地そのものがあまり丈夫でない(生地の薄さや化学繊維との混紡だったり)こと。
もう一つは、裏地(胴裏)が化学繊維(アセテートなど)の場合がほとんどで、強い薬品を使ったり熱を強くかけたりすると、生地の損傷(溶けたり破れたり)が起こるリスクがあるということがあります。
生地を傷めないように染み抜きに使う薬品を厳選し、熱を加えずに染み抜きする当店独自の染み抜き方法を用いることで、手間と時間はかなりかかりましたが、見た目に分からない状態には直せたかと思います。
【参考価格】画像部分の染み抜き 20,000円程度(税別)
(※注※染み抜きは生地の素材・色合い、シミの濃さなどによって金額が変わってきます。あくまで一例の参考価格としてお考えください。クリーニングその他加工は別途料金がかかります。)