押し売りする悪徳呉服屋から身を護る4つの方法

とある着物の小売店が、支払い能力のない方にも押し売りするような、かなりの悪どい商いをしていたというニュースが流れて、世の中が騒然としています。

(面倒事は大嫌いなので、リンクは貼りません。ご自身でお探しくださいませ)

「また着物業界かよ」「過去に何回も同様の手法で摘発されてるのに、一体いつまで同じようなことをしてるんだ」

という声も見聞きします。

全くその通りだと思います。

ボクが着物業界に足を踏み入れて、いつの間にか四半世紀以上の年月が経ちました。

この業界に入る前に、一年だけですがサラリーマンを経験して職人の道へと進んだんですが、業界に入ってすぐに、職人という職業よりも着物業界に対して強い違和感を覚えたのを今でも覚えています。

そんな経験があったので、「この先何十年経とうとも、自分は絶対に業界には染まらないで生きて行こう」そう誓った想いは、今でも忘れていません。

着物業界の悪しき商慣習は、未だになくならない

そんな着物業界ですが、四半世紀以上経っても、大きく(良い方向に)変わったという実感はありません。

着物の小売店が、消費者に強引に売りつけるという商いの手法は、ボクが着物業界に入った時にすでに問題になっていました。

過去には摘発された例もいくつかあります。

そんな過去があっても、強引に売りつける商売が跡を絶たないこの業界、もう業界自身の健全化は望むべくもなさそうなので、着物業界の本流から完全に外れている一介の染み抜き屋が、悪徳呉服店から身を護る方法を、思いつくままに記したいと思います。

押し売りする着物小売店から身を守るための4つの方法

いつまでも悪徳呉服店がなくならないのは、そのような強引かつ悪質な販売方法でも購入する方が一定数いらっしゃるということです。

そこで、以下に着物業界人である私が考える、悪徳呉服店から身を守るための4つの方法をお伝えいたします。

知らない呉服店に一人で行かない

今回のニュースでもありましたが、悪徳呉服店は、お客を捕まえたら最後、買うまで(契約書にサインするまで)帰さないようにします。

一人のお客さんを何人もの人数で取り囲み、言葉は優しくとも、威圧感を与え、思考力を低下させ、人間の心理である「とにかく早くこの場から逃れたい」という心理を利用し、強引に買わせようとします。

これを防ぐには、まずはよく知らない着物小売店には、絶対に一人で行かないこと

大きなショッピングモールにテナントで入っている店も、個人の店でも同じです。

最低でも二人、仲間が多ければ多いほど取り囲み作戦に勝てますので、何なら大人数で行きましょう。

安易に個人情報を渡さない

着物の小売店は、顧客名簿を使って、着物販売の催事のお誘いをかけることがよくあります(このこと自体は何ら問題はありません。悪用する店が悪いのです)

昔は名簿を売る業者などもいたようですが、このご時世、個人情報は簡単に手に入りません。

しかし、来店客から個人情報を得られたら、それを使って催事への勧誘が出来ます。

よく聞く話が、呉服店の店先の小物などのワゴンセール品を買おうとしたら、なぜか住所や名前を書かせようとする店があるそうです。

どこの世界に、数百円の小物を買うために個人情報を店に与えなくてはならない店がありますか?

こんな店は絶対にまともな商いをする店じゃありません。

店側に強引に迫られても、絶対に安易に個人情報は渡してはなりません。

しつこいようなら、買い物を諦めて即座に帰りましょう。

プレゼントに釣られない

催事などでよくあるのが、来場された方には無料で○○をプレゼント!という企画。

人間は、無料という言葉に弱い。

まぁ、タダで物がもらえるのって、嬉しいですよね。思わずお店に足を運びたくなります。

ですが、お店も商売ですから、何かをタダで渡してそのまま帰すなんて博愛精神は微塵もありませんから、プレゼントに釣られて来た人には、何か買って帰ってもらおうとするのは当然の流れです。

すでに長い付き合いがあって気心の知れたお店なら大丈夫ですが、そうでないお店であれば、安易にプレゼントに釣られてお店に足を運んではいけません。

最後に有効なのは、自分の強い意志

もし、強引に売りつけてきて支払いの契約を迫る呉服店にあたってしまったら、最後は強い意志で購入するつもりがないことを伝えてください。

そして、連絡出来る家族や知人がいるなら、その場で電話をして、可能なら店に迎えに来てもらいましょう。

今ならスマホにボイスレコーダーのアプリが入っていますから、それで店との会話を録音するのも良いですね。後で何かの役に立つかもしれません。

訪問販売の場合、クーリングオフという制度が助けてくれることもありますが、店頭で物を購入した場合、自分で店に出向いて自分の意思で納得して購入したと見做されるため、クーリングオフの制度が適用されません。

とにかく、必要のない着物を買わされそうになったら、断固として断る強い意志が肝心です。

着物の小売店・呉服店に行く前に、情報を調べておく

着物を購入する前に、事前に情報を調べることは、自分にとって最適な着物やお店を選ぶために非常に重要です。
情報を調べることで、自分が欲しい着物の種類、素材、価格帯、販売店の評判などを知ることができます。

以下は、着物を購入する前に事前に調べておくと良い情報の例です。

着物の種類

着物には、留袖、訪問着、振袖、付け下げ、色無地、小紋、単衣など、種類があります。それぞれの種類には、着るにふさわしい場面や着るべき季節などの違いがあります。自分が本当に欲しくて必要とする着物の種類を調べておくことで、販売店での選び方が明確になります。

着物の素材

着物には、絹、ポリエステル、綿、麻、ウールなどの素材があります。フォーマルな着物はほぼ全て絹の生地ですが、カジュアルな着物は絹以外にも上記のような様々な生地で作られています。
素材によって販売価格や生地の風合いなどが異なりますし、着る季節なども変わってきます(例えば一般的なポリエステルの着物なら、通気性がないので、真夏は暑くて着られません)
自分が本当に欲しい着物の素材を調べておくことで、予算内での選択肢を絞ることができます。

着物の価格帯

着物の価格帯は幅広く、数万円から数百万円以上まであります。おおよその自分が予算内で購入できる着物の価格帯を調べておくことで、必要のない高級な着物を買わされてしまうことが少なくなり、小売店での着物の選び方が明確になります。

着物小売店・呉服店の評判

着物を購入する前に、販売店の評判を調べることも重要です。インターネット上のレビューや口コミを調べることで、呉服店の商いに対する姿勢や品揃えなどを知ることができます。
もし固有名詞で検索してネガティブな口コミや評判が多いお店は避けた方が無難でしょう。

着物のお手入れ方法

着物のお手入れ方法も、購入前に調べておくことが大切です。絹の着物は自宅で洗うことはほぼ不可能なので、お手入れや洗いは専門店に依頼することになりますが、綿・麻・ポリエステルの着物は自宅で洗える物がほとんどなので、自宅でお手入れすることが可能です。
着物の生地の素材によってお手入れ方法が異なるため、自分で洗える着物が欲しい人は、そのような着物を事前に調べて購入するのが良いかと思います。

押し売りに負けて強引に着物を買わされてしまった時は?

着物小売店で悪質な押し売り販売で必要のない高価な着物を買わされてしまった場合は、以下のような対処方法があります。

問題を店舗及び上部組織の責任者に報告する

もし悪質な販売方法で必要のない着物を買わされてしまった場合は、まずは店舗の責任者及び上部組織(運営会社など)に直接問題を報告しましょう。
ローンを組まされて強引に買わされたなどの問題の内容を明確に説明し、可能な限りの証拠を提供して、店舗やその上部組織との話し合いをしましょう。
可能であれば、弁護士に相談して今後の対応を協議してからですと、より良いかと思います。

消費者センターに相談する

店舗の責任者や運営会社との対話で問題が解決されなかった場合は、地域の消費者センターに相談することができます。消費者センターは、消費者保護法に基づくアドバイスや支援を提供してくれます。

消費者トラブルを解決する裁判所に訴える

もし、上記の方法で解決されない場合は、消費者トラブルを解決するための裁判所に訴えることができます。ただし、訴訟には時間と費用がかかることを念頭に置いておく必要があります。

悪質な販売に遭遇した場合は、できるだけ早く問題を解決するために、上記の手順を踏んで適切な措置を取ることをお勧めします。

ボクは着物業界の人間なので、このようなことを書くと批判されるかもしれません。

ですが、ボクは着物業界人の前に、一人の人間として正しいことをして生きていきたいのです。